生木に花咲くに驚け

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    「枯れ木に花咲くに驚くより、生木に花咲くに驚け」

    三浦梅園

     

    『龍の滝』

    柿畑玲子

     

     

     

    ————「もしよろしかったら、ウィンドウの中のガラスをみがかせてください」

    ・・・

     

    少年は、クリスタル商人のところで、すでに一ヵ月近く働いた・・・

     

    (クリスタル)商人は、・・・少年に話しかけた。

    「わしはな、変化というものが、あまり好きではないのだ・・・おまえさんも羊とピラミッドのことを夢見ているね。でもおまえはわしとは違うんだ。なぜなら、おまえさんは夢を実現しようと思っているからね。わしはただメッカのことを夢見ていたいだけなのだ」・・・

     

    さらに二ヵ月がたった。・・・

     

    (クリスタル商人の)老人は続けた。「おまえさんはわしにとって、本当に恵みだった。今まで見えなかったものが今は分かるようになった。恵みを無視すると、それが災いになるということだ。わしは人生にこれ以上、何も望んでいない。」・・・

     

    少年は夜明け前に目を覚ました。彼がアフリカ大陸に初めて足を踏み入れてから、十一ヵ月と九日がたっていた。・・・

     

    シャラノキ・夜明け前

     

     

    「今日 出発します」と少年は言った。「僕は羊を買うのに必要なお金ができました。あなたは、メッカに行くのに必要なお金がありますよね」

     

    ・・・(クリスタルの)商人は何も言わず、お茶の用意を続けた。それから少年の方を向いた。

    「わしは、おまえを誇りに思っているよ」・・・「お前はわしのクリスタルの店に新しい気分を持ってきてくれた。」・・・

     

    少年はクリスタル商人にさよならを言わずに出発した。・・・

     

     

    少年はクリスタル職人のことを思った。彼は「おまえにとって、クリスタルを磨くことは、否定的な考えから自分を自由にすることなのだよ」と言った。少年はますます、錬金術は日常の生活の中で学ぶことができると確信した。

     

    パウロ・コエーリョ・著『アルケミスト』

     

    —————————

     

     

     

     

    —————————

     

     

     無学ではあり貧しくはあるけれども、彼は篤信な平信徒だ。なぜ信じ、何を信ずるかをさえ、充分に言い現せない。しかしその素朴な言葉の中に、驚くべき彼の体験が閃いている。手にはこれとて持物はない。だが信仰の真髄だけは握り得ているのだ。彼が捕えずとも神が彼に握らせている。それ故彼には動かない力がある。

     

     私は同じようなことを、今眺めている一枚の皿についてもいうことが出来る。それは貧しい「下手(げて)」と蔑まれる品物に過ぎない。奢る風情なく、華やかな化粧もない。作る者も何を作るか、どうして出来るか、詳しくは知らないのだ。信徒が名号を口ぐせに何度も唱えるように、彼は何度も何度も同じ轆轤の上で同じ形を廻しているのだ。そうして同じ模様を描き、同じ釉掛けを繰返している。美が何であるか、窯藝とは何か。どうして彼にそんなことを知る智慧があろう。だが凡てを知らずとも、彼の手は速やかに動いている。名号は既に人の声ではなく仏の声だといわれているが、陶工の手も既に彼の手ではなく、自然の手だといい得るであろう。

     

     彼が美を工夫せずとも、自然が美を守ってくれる。彼は何も打ち忘れているのだ。無心な帰依から信仰が出てくるように、自から器には美が湧いてくるのだ。私は厭かずその皿を眺め眺める。

     

    —————————

     

     

    ・・・凡ての我執はここに放棄せられ、凡ての主張は沈黙せられ、ただ言葉なき器のみが残る。「この沈黙に優る言葉があろうか」とある僧は問うた。「沈黙は神の言葉である」・・・

     

    柳宗悦・著『民藝四十年』

     

     

    —————————

     

     

     

     

     

     

     ご無沙汰しておりました。

     

     「櫻の木の下には屍体が埋まっている」以来の、読んでいると、いつの間にかしら、眉間に皺が寄ってしまって『・・・?』から始まる、久しぶりのハッピーツリーのブログです。(眉間に皺、を繰り返すと肌年齢が衰え、第一印象が悪くなりますよ)

     

     

     ところで思い返せば、3ヶ月前に、弊社の主力商品の一つである『絶大な人気を誇る』、あのアオダモの花を・・・・・いえ、花ばかりではなく、そう、アオダモの存在そのものさえも全否定し、おまけに、かなり小馬鹿にして以来、その後、ハッピーツリーのブログの更新がなかったので、今、お読みになっている読者の中には、おそらく、有史以来、初めてと言えるほど救いようがない暇な日常を過ごして、時々、気まぐれにハッピーツリーのブログにアクセスしていて「新入りの分際で、調子に乗って、アオダモを馬鹿にした阿呆な社員、自滅したな」と想っていらっしゃった方がいるはずです。

     

     

     ここだけの話ですが、当然の如く、あの後、すぐ会社側から呼び出され、こっぴどく叱られ、始末書を書かされ、減給されてしまい、妻と子どもと犬と猫に愛想尽かされ、出て行かれて、ことわざで言う『正直者が馬鹿を見る』って、こういうことなんだな、と悔恨の思いいっぱいいっぱいで、ハッピーから遠くかけ離れた、その後の日々を、途方に暮れて過ごしていました。というのは、まったくのウソで、やっぱり、人であれ、植物であれ、悪く言うのは良くないと思い直し、何度か書き直そうかと思い立ちましたが、書き直すことが出来ないほどに、僕のアオダモに対する、この純粋かつ正直な気持ちは、今も変わりはありません。

     

     でも、本当に、ここだけの話ですが、あのブログをアップしても、特に、その後、そして今のところ、会社側から、減給、または解雇通告もされてはいないし、あのブログのせいで売り上げが激減した故の訴訟も起こされていません。

     

     実は、アオダモを、めっちゃ小馬鹿にできるネタは、まだまだ、沢山あるのだけれど。(だから今度こそ解雇だってば)

     

     

     

     そして、そんな久しぶりのブログは出だしから、いつものように、ずっと読ませておいて(たぶん途中で飽きてしまったり、目を疲れさせてしまうのだろうけれど)、「錬金術」と「神」で引用が終わってしまった。

     

     もう、だから、それは、ハッピーツリーと関係が有るのか無いのか、そもそも植木の生産管理と、どう繋がっているのかと、ふつふつと疑問が湧き、この際、距離を置いた方がいいブログなのかと自問している方が、きっといるとは思います。

     

     でも、今回のように、難解かと思われるような、こんなブログでも、きっと、このブログを心待ちにしていた一部の熱烈なファンの中には(そんな人がいるのか?)、僕の言わんとすることが、わかる人がいると信じています。

     

     

     

     

     

     

     

     「・・・制限の中に初めて名人が現れる。

    そして法則のみが、

    われわれに自由を与えることができる。」

    ゲーテ

     

     

     

     

     

     

     ルーティンとも。

     アーティストやアスリートも日々、同じ事を繰り返すそうです。

     

     繰り返しの生活や仕事の中で、美しいものが生み出される・・・。

     

     と、いうことを、ただ言いたいだけだったのです。

     

     なので、お時間があるのなら、最初から、もう1度、読み返してみてください。

     

    これは我が家のクレマチス

     

     

     僕が観た邦画の中では、『日日是好日』で樹木希林さんが伝えています(僕の中では『あん』と『神宮希林』が好きな作品です)。

     

     

     

     

     んで、なんで、そんなこんなで、振り回しているつもりではないのですが、なにを言いたいのかを申しますと、

     

     仲田種苗園に新しいスタッフが加わりました。

     

     ただ、それだけです。

     

     

     

     

     そんな新しい仲間へ。

     

     野の花マットの生産工程は、どんなにしたって欠伸が出てしまう日がきます。(と、たぶん、そう思います)

     

     

     

     

     けっしてムリはしないで根気強く、長く、同じ事を、ネチネチ繰り返し続けてください。

     

     

     

    野の花マットは、ただただ美しい

     

     

     

     

     

     

    —— 芸術をもてあの灰色の労働を燃せ。——

    宮澤賢治・著『農民芸術概論』

     

     

     

     

     


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