#bloom op.09

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    とうにこの花の季節は過ぎてしまったのですが、宮澤賢治さんの誕生日が8月なので。

     

     

    『ソリア・モリア城 』

    テオドール・キッテルセン

     

    ・・・・・

     

    (これがお前の世界なのだよ、お前に丁度あたり前の世界なのだよ。それよりもっとほんとうはこれがお前の中の景色なのだよ。)

     

     

    ・・・・・

     

    (そうです。そうです。そうですとも。いかにも私の景色です。私なのです。だから仕方がないのです。)

     

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    ・・・・・

     

    諒安はそのくろもじの枝にとりついてのぼりました。くろもじはかすかな匂を霧に送り霧は俄かに乳いろの柔らかなやさしいものを諒安によこしました。

     

    ・・・・・

     

     

    諒安は眼を疑いました。そのいちめんの山谷の刻みにいちめんまっ白にマグノリアの木の花が咲いているのでした。その日のあたるところは銀と見え陰になるところは雪のきれと思われたのです。

     

    ・・・・・
     

     

    (けわしくも刻むこころの峯々に いま咲きそむるマグノリアかも。)斯う云う声がどこからかはっきり聞えて来ました。

     

     

    ・・・・・

     

    「・・・・・マグノリアの木は寂静です。あの花びらは天の山羊の乳よりしめやかです。あのかおりは覚者たちの尊い偈を人に送ります。」

     

     

    「・・・・・それはマグノリアの木にもあらわれ、けわしい峯のつめたい巌にもあらわれ、谷の暗い密林もこの河がずうっと流れて行って氾濫をするあたりの度々の革命や饑饉や疫病やみんな覚者の善です。けれどもここではマグノリアの木が覚者の善でまた私どもの善です。」

    宮澤賢治・著『マグノリアの木』

     

     

    ※写真のマグノリアは仲田種苗園の圃場にあるものです。※

     

     


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